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2025年09月01日号 (第550)

福利厚生サービス会社(カフェテリアプラン)の課税関係

 例年、年末にふるさと納税についてご紹介することが多いのですが、今年は各ポータルサイトによるポイント還元が9月末までということで、9月中にふるさと納税をされる方が増えているそうです。気になる方は、ぜひ検討してみてください。

 さて今回は、福利厚生サービス会社を利用した福利厚生の課税関係について、ご紹介していきます。

カフェテリアプランの概要

 最近、クライアントに対するカフェテリアプランの営業をよく見かけます。営業手法としては、「所得税が課税されない範囲で従業員の福利厚生を充実させてみませんか?」という内容です。さまざまな会社がサービスを提供しており、食事に限定したものから、食事だけでなく幅広いサービスに利用できるものまで、バリエーションが豊富です。

 運用方法としては、まず従業員に定額のポイントを付与し、次に従業員が提携している飲食店で食事をするときにポイントを利用できるというのが基本的な枠組みですが、運営会社によって利用できるサービスにはかなり幅があります。

税務上の取扱い

 国税庁の質疑応答事例で、「カフェテリアプランによるポイントの付与を受けた場合」という内容が公表されています。

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/gensen/03/36.htm

 実際にはさまざまな形のサービスが存在しますが、前提として「残ポイントを次年度に繰り越したり、現金で精算することはできません」というところが重要です。回答の結論部分は下記のとおりです。

カフェテリアプランのメニューの中には、課税扱いとなるものと非課税扱いとなるものが混在していますが、メニューの各項目は、一定の要件に該当しなければサービスを受けられないものであり、また、そのサービスを受けられないことによって金銭が支給されるものではありませんので、従業員に付与されるポイントについては、現に従業員がそのポイントを利用してサービスを受けたときに、その内容に応じて課税・非課税を判断するものとして差し支えないと考えられます。

 すべてが非課税になるわけではなく、内容によって判断するとされています。クライアントはすべてが非課税になると誤解しているケースが多く、この質疑応答を見てがっかりされることは少なくありません。また条件として、下記のような記載もあります。

企業の福利厚生費として課税されない経済的利益とするためには、役員・従業員にとって均等なものでなければならないことから、役員・従業員の職務上の地位や報酬額に比例してポイントが付与される場合には、カフェテリアプランの全てについて課税対象となります(所得税基本通達36-29)。また、課税されない経済的利益は企業から現物給付の形で支給されるものに限られますので、ポイントを現金に換えられるなど換金性のあるカフェテリアプランは、その全てについて課税対象となります。

 条件から外れてしまうと、外れた部分だけでなく全部が課税対象となるという意味では、運用に注意を払う必要があります。

会社側の負担

 カフェテリアプランを利用した場合、利用しない従業員が多くても、付与されるポイント分は会社に負担が生じます。そのため、利用率については非常に気になるところです。導入しても立地などの理由により、利用できる環境にない場合などは、結果として利用率が低くなる傾向があります。

 また、上の質疑応答にもありましたが、幅広く使えるタイプのカフェテリアプランの場合、社内で課税になる部分と非課税になる部分を切り分ける必要があり、事務負担が増加するという側面もあります。

 

 うまく機能すると魅力的な制度ですので、十分に内容を吟味して検討してみてはいかがでしょうか。

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